ドロシー
Watercolors, colored pencil on paper and panel
21 x 15 cm
 オズの魔法使いのドロシーみたく、あのルビーの赤い靴のかかとを鳴らして、みんなの知らないどこか素敵な場所へ行きたい。
 先週の日曜日に買ったこの千円のパンプスは、あの映画の靴に似ていたので買った。これでもかってほど吹き付けられた大きめのラメは下品なほどよく光る。実際、ドロシーみたくかかとを鳴らそうものなら、その大きなラメは剥がれ地面に散らばってしまう。まだ履いて一週間も経っていないのに、つま先はもう剥げてしまい灰色の生地が丸出し。志江ちゃんもそうだけど、みんなは軽々と、私の行けない幸せの世界へ行っているようなのにどうして私は行けないのだろう。この先行ける気もしない。存在するとも思えない。映画のヒロインのような瞬間は、やっぱりこの人生には、なさそう。