日々変化している日本や世界の状況の中でも、個人単位の”日常”生活はそれぞれ淡々と続いているものです。その”日常”という生活の中で、私たちは何かに向かって努力したり、恋をしたり、人を妬んだり、悔し泣きをしたりしてそれぞれが日々を生きています。

 私は作品をつくる際、まず始めにきっかけとなる言葉(戯曲のようなもので、ある人物の独り言)を書き、その言葉をモチーフにして絵を描いています。言葉は、その場面を説明したものではなく創作のために存在しているので、必ずしも言葉と場面はイコールになっているわけではありません。最近では、その言葉を発した人物の設定に合った筆跡で言葉を起こし、テキストとして作品と合わせて発表しています。モチーフとして書かれた言葉は、全て想像上のものであり、鑑賞者に親近感を持ってもらうため、あえて誰かしらの日常に当てはまりそうな物事を選んでいます。

 生きていく中で何かに懸命になることは、見方によって滑稽でまぬけに見えることもありますが、私はそういう人間が好きです。制作している作品は、懸命に日々を生きる人へ私からの尊敬を込めたラブレターなのです。

2015年 大坂 秩加