私はまだ、よく分かりません
Watercolors, colored pencil on paper and panel
25.8 x 18.4cm
 私には美大に通っている歳のはなれた兄がいます。時間があるときは、兄の絵のモデルをよくやっています。先日ずっと疑問だった、何故女子高生ばかりを描くのか、ということ聞きました。兄曰く、十代の少女は、大人に成りきれないが為に、身体と心のバランスを崩しやすく、ガラス細工のように繊細で透明な美しさがある。物事を疑わない心、それでいて将来への憂い、現実に対する絶望も持ち合わせているんだ。全てが危うく純粋、その輝く一瞬を切り取りたい。 のだそうです。
 お兄、ごめんね。お兄が思ってくれている程、私たちそんなに奥深くない。
 あまり知られていませんが、私たちは客観的に状況を見ることのできるもう一人の自分を既に持っていて、何かを憂いているときも「あ、いま私、ドラマの主人公みたい」と思うし、涙が出たときは「○○君(好きな人)気付いてくれないかな」などと、案外したたかです。
 少女が無垢で純粋なものだなんて、大人の理想ではないでしょうか。いずれ私も成人になり、働くようになる頃には、兄のように青春時代の美化を始めてしまうのでしょうか。美化せずには語れないものなのですか、十代は。私はまだ、よく分かりません。